はじめに
私は現在、令和7年度行政書士試験の受験生で、結果発表を待っている段階です。
将来的に開業するとしたら、業務分野として特に相続・遺言業務に強い関心があります。
そのため、これまでにも相続実務書を何冊か読んできましたが、直近では
『行政書士のための相続実務マニュアル』を読了しています。
その流れで本書『行政書士のための相続・遺言実務の基礎』を手に取るに至りました。
本書の位置づけ|「実務マニュアル」より一歩踏み込んだ内容
本書を読んで率直に感じたのは、
本書は「相続実務をこれから知る人」よりも
「実務を意識し始めた人・既に関わっている人向け」
という点です。
前述の『行政書士のための相続実務マニュアル』が
- 相続業務の全体像
- 行政書士がどこまで関われるのか
- 初動対応の流れ
といった導入・イメージ形成に強い書籍だとすると、
本書はより実務寄りの視点に重心が置かれている印象でした。
文書解説が非常に具体的
本書の大きな特徴は、
相続・遺言実務で扱う文書をかなり具体的に解説している点です。
たとえば、
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 相続関係説明図
- 財産目録
といった、相続業務では避けて通れない書類について、
- どんな場面で必要になるのか
- 作成する前に何を調査すべきか
- 文言をどう考えるべきか
が丁寧に書かれています。
また、
戸籍謄本・不動産登記簿謄本といった資料についても、
「なぜ必要なのか」「何を確認するのか」が整理されているため、
単なる雛形集ではなく、考え方を学べる構成になっています。
言い回しはやや専門的|完全初心者には少し重いかも
一方で注意点として感じたのは、
- 法律文書の言い回し
- 実務を前提とした説明
が多く、完全な初学者にはややハードルが高い点です。
行政書士試験の勉強を始めたばかりの方や、
「相続業務って何をするの?」という段階の方が読むと、
少し難解に感じる可能性はあると思います。
そのため、まずは相続業務の全体像をつかむ
→ その後に本書で実務イメージを深める
という順番が、個人的にはおすすめです。
この書籍はこんな人に向いている
最後に、本書が特に向いていると感じたのは、次のような方です。
- 既に行政書士として実務を行っており、これから相続・遺言業務を本格的に始めたい人
- 相続業務を受任し始めており、文書作成や調査の理解を深めたい人
- 相続実務の「流れ」だけでなく、実際に扱う書類・文言まで踏み込みたい人
- 法律事務職員として、相続・遺言業務の基礎を体系的に学びたい人
- すでに相続実務の入門書を一冊読んだ上で、次の一冊を探している人
逆に、
- 行政書士試験の勉強を始めたばかり
- 相続業務のイメージが全くない
という方は、まずはより入門的な書籍を読んだ後に本書を読むと、理解しやすくなると感じました。
まとめ
『行政書士のための相続・遺言実務の基礎』は、
相続業務を「実際にやる立場」から書かれた実務書です。
相続分野は今後もニーズが高まることが予想される中で、
「いつかやる」ではなく
「本気で業務にしたい」と考えている行政書士にとって、
手元に置いておきたい一冊だと感じました。



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