行政書士として相続・遺言業務に取り組みたいと考えたとき、
多くの人が最初に学ぶのは「遺言書」や「遺産分割協議書」です。
しかし、実務を想定すると必ず直面するのが銀行の相続手続。
預金口座の凍結解除、払戻請求、残高証明書の取得など、
銀行とのやり取りを避けて相続業務を完結させることはできません。
今回は、銀行相続手続を実務レベルで学べる専門書、
『行政書士のための 銀行の相続手続 実務家養成講座(第2版)』
についてレビューします。
書籍の基本情報
- 書名:行政書士のための 銀行の相続手続 実務家養成講座(第2版)
- 著者:竹内 豊
- 出版社:税務経理協会
- 発売日:2025年3月30日
- ページ数:496ページ
- 定価:3,960円(税込)
本書は「行政書士実務直結シリーズ」の1冊で、
銀行相続手続を理論と実務の両面から体系的に解説しています。


相続業務において「銀行手続」が重要な理由
被相続人が亡くなると、銀行口座は凍結されます。
そこから預貯金を払い戻すためには、
- 遺言の有無
- 遺産分割協議の有無
- 相続人の構成(未成年・海外居住者・相続放棄など)
といった条件に応じて、必要書類や手続が変わります。
さらに、銀行ごとに運用が異なるため、
知識が不十分だと
「本来不要な書類を求められる」
「手続が無駄に長期化する」
といった事態にもなりかねません。
本書は、こうした銀行相続手続の難しさを前提に、
速やかで確実な手続を行うための実務書として構成されています。
業務の全体像が分かる「ロードマップ構成」
本書の大きな特徴の一つが、
銀行の相続手続を「7つのプロセス」で整理している点です。
単なる手続解説ではなく、
受任から業務完了までの流れを俯瞰できる構成になっています。
これにより、
- 実務経験がない人
- これから相続業務を始めたい人
でも、「自分がこの業務を担当したらどう動くか」を
具体的にイメージしながら読み進めることができます。
実務で使える「現物資料」が162枚収録
本書の最大の強みと言えるのが、
実際に作成・提出された現物資料が大量に掲載されている点です。
- 委任状
- 相続届
- 銀行提出書類
- 保険金請求関連書類
など、合計162枚の現物資料が再現されています。
文章だけでは分かりにくい部分も、
「この場面では、この書類を出す」という形で理解できるため、
実務へのハードルが大きく下がります。
実務の疑問を網羅するQ&A56問
第5章では、銀行相続手続に関するQ&Aが56問掲載されています。
- 銀行担当者への対応
- 相続人の一部だけで行う払戻請求
- 貸金庫の取り扱い
- ゆうちょ銀行の相続手続
- 原本還付や法定相続情報証明制度
など、実務でつまずきやすいポイントが具体的に解説されています。
これから相続業務を行う人にとっては、
「実務で困る前に読んでおきたい内容」が詰まっています。
第2版で追加された株式・暗号資産・生命保険の章
第2版では、新たに以下の章が追加されています。
- 上場株式の相続手続
- 暗号資産の相続手続
- 生命保険の死亡保険金請求手続
特に生命保険については、
現物資料を使って請求手続の流れが解説されており、
相続業務と併せて依頼されやすい分野の理解が深まります。
どんな人におすすめの書籍か
本書は、次のような方に特におすすめです。
- 行政書士として相続・遺言業務に取り組みたい人
- 銀行相続手続を苦手分野にしたくない人
- 実務を具体的にイメージしながら学びたい人
- 相続業務をワンストップで提供したい人
遺言書作成や遺産分割の知識とあわせて読むことで、
相続業務全体の理解が一段深まります。
まとめ|相続業務を「仕事」にするための実務書
『行政書士のための 銀行の相続手続 実務家養成講座(第2版)』は、
単なる制度解説ではなく、実務で使うことを前提に書かれた一冊です。
- 業務の流れが分かる
- 実際の書式が確認できる
- よくある疑問を事前に潰せる
相続・遺言業務を本格的に行いたい行政書士にとって、
早い段階で読んでおいて損のない実務書だと感じました。


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