私は令和7年度の行政書士試験を受験し、現在は合格見込みの立場にあります。
これまで行政書士としての開業に関する書籍は読んできましたが、
実務に特化した書籍については、読んだことがありませんでした。
一方で、地方公務員として長年、戸籍業務に従事してきた経験があります。
戸籍事務を通じて、行政書士として開業するなら相続業務に携わりたいという思いは以前から持っていました。
ただ、「相続業務に興味はあるものの、行政書士として実際にどのように業務を進めていくのか」という点については、正直なところ具体的なイメージを持てていませんでした。
そのような中で手に取ったのが、今回レビューする
『行政書士のための相続実務マニュアル』(初見孝 著)です。
書籍の概要
本書は、相続・遺言業務をこれから始める行政書士向けに書かれた、実務重視の書籍です。
構成は以下のとおりです。
- 第一編 総論
- 第二編 相続業務
- 第三編 遺言業務
- 第四編 資料
- 実務に役立つ判例一覧
- 各種コラム
「実務に根差した、実務に役立つ」「初めての相続業務の体系書」というコンセプトどおり、制度解説だけでなく、業務の流れを意識した構成になっています。
相続業務の知識習得にも適した一冊
本書は、すでに相続実務を経験している人向けというよりも、
- 相続業務が未経験
- これから相続分野に取り組みたい
- 実務書を読むのが初めて
といった行政書士や行政書士受験生にとって、非常に読みやすい内容だと感じました。
相続・遺言業務の全体像を把握するのに適しており、「まず何を押さえるべきか」が整理されています。
業務の進め方がイメージしやすい
特に印象的だったのは、具体的な業務の進め方が分かりやすく書かれている点です。
単なる法律や制度の説明にとどまらず、
- どのような流れで業務が進むのか
- 実務上どの点に注意すべきか
といった点が記載されているため、実際の相談や業務の場面をイメージしやすいと感じました。
家族信託など新しい制度にも対応
本書では、比較的新しい制度である家族信託についても解説されています。
相続・遺言業務に関連する周辺知識として、家族信託に触れておくことは重要であり、その点でも本書は現在の実務を意識した内容になっていると感じました。
実務で使えそうな資料・文例が掲載されている
第四編の資料編には、実務で活用できそうな資料や文例が掲載されています。
そのまま参考にできそうなものも多く、特に開業初期や実務経験が浅い段階では、心強い存在になると思います。
単なる読み物ではなく、「実務書」としての実用性も感じられました。
相続・遺言業務の魅力と大変さが伝わる
本書全体を通して、相続・遺言業務の魅力が伝わる一方で、
やりがいがある反面、簡単な業務ではないという点もしっかりと感じ取ることができました。
相続業務に対する理解が深まると同時に、覚悟も求められる分野であることが分かる内容だと思います。
まとめ:相続業務に関心のある行政書士におすすめ
結論として、本書は「読んで良かった」と感じられる一冊でした。
- 行政書士受験生のモチベーション向上
- 開業を控えている人が、相続業務の具体的なイメージを持つため
- すでに開業している人が、辞書的に参照する実務書として
いずれの立場の方にもおすすめできる書籍だと思います。
相続・遺言業務に少しでも関心がある行政書士の方であれば、一度目を通しておいて損はない一冊です。


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