相続・遺言分野に関わるうえで、
「遺言執行者の実務をどこまで具体的にイメージできているか」は非常に重要だと感じています。
制度や手続の知識だけでなく、
実際の現場でどのように業務が進み、どんな判断や対応が求められるのか。
それを体系的かつ実践的に学べる書籍は、決して多くありません。
今回紹介する書籍は、
遺言執行者の役割や業務内容を丁寧に解説しつつ、
実務の流れを具体的にイメージできる点が大きな特徴の一冊です。
特に、最終章に収録されている
「遺言執行業務日誌」は、他の相続関連書籍にはあまり見られない内容で、非常に印象に残りました。
本書の概要
本書は、相続・遺産分割を円滑に進めるためのキーマンである
「遺言執行者」に焦点を当てた実務書です。
遺言執行者について、
- どのような役割を担うのか
- どのような業務があり、どこまで関与するのか
- 実務はどのような流れで進むのか
といった点が、段階的に整理されています。
また、遺言執行者に指定してもらうための提案方法や、
報酬、コンプライアンス、他業種との連携まで扱われており、
実務を意識した内容になっています。
実務の全体像がつかみやすい構成
本書を読んでまず感じたのは、
実際の実務の流れが非常に分かりやすく整理されているという点です。
遺言執行というと、
- 戸籍の収集
- 相続人の確定
- 遺産目録の作成
- 財産の分配
といった個別作業のイメージが先行しがちですが、
本書では「相続開始から業務終了まで」を一連の流れとして把握できます。
そのため、
実際に遺言執行者として関わった場合、
次に何を行い、誰と連携し、
どのような判断が必要になるのか
が自然とイメージできました。
合格前・実務未経験でも理解しやすい
私は現在、行政書士としての開業を見据えて準備を進めていますが、
実務未経験の段階では、
- 実際の現場で何が起きるのか
- 学んだ知識がどのように使われるのか
が分かりにくいと感じることがあります。
その点、本書は
知識と実務を結びつけてくれる一冊だと感じました。
制度解説だけでなく、
- 実務上の注意点
- よくある質問
- 他士業との関係性
などにも触れられており、
単なる知識本にとどまらない構成になっています。
最終章「遺言執行業務日誌」が非常に印象的
本書の中で、特に印象に残ったのが
最終章の「新人相続コンサルタント ミチオの遺言執行業務日誌」です。
この章では、
- 遺言書作成
- 遺言者死亡後の初動対応
- 遺言執行者としての業務開始
- 税理士など他士業との打合せ
- 不動産登記・預貯金払戻し
- 遺留分侵害額請求への対応
- 業務終了と報酬請求
といった流れが、
会話形式・日誌形式で具体的に描かれています。
単に手続を追うだけでなく、
- その場でどのように考えたのか
- どんな点に悩み、注意したのか
- 関係者とどう向き合ったのか
といった心情面まで含めて描写されている点が、この章の大きな魅力です。
実務を疑似体験できる構成で、
これから相続実務に関わる方にとって非常に参考になる内容だと感じました。
他の相続・遺言関連書籍との違い
相続・遺言に関する書籍は数多くありますが、
本書は以下の点で特徴的だと感じます。
- 遺言執行者という役割に特化している
- 実務手順が具体的かつ体系的
- 最終章で実務の流れを疑似体験できる
特に、
「実務が始まった後のイメージを持ちたい方」には、非常に相性の良い一冊だと思います。
こんな方におすすめ
- 相続・遺言分野に関心のある方
- 行政書士・社労士・FPなど、相続実務に関わる可能性のある士業の方
- 実務未経験で、具体的な業務イメージを持ちたい方
- 遺言執行者業務を体系的に学びたい方
相続に携わる実務家にとって、
実務理解を深めるための良書だと感じました。
まとめ
本書は、
- 遺言執行実務の全体像がつかめる
- 実際の業務の流れを具体的にイメージできる
- 特に最終章の業務日誌が非常に秀逸
という点で、非常に学びの多い一冊でした。
相続・遺言分野にこれから本格的に取り組もうと考えている方にとって、
実務への理解を深める一助となる書籍だと思います。


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