この記事は令和5年度競売不動産取扱主任者試験を受験し、合格した私の記録です。試験を受験される方にとって少しでも参考になれば幸いです。
前提知識と受験動機
受験の前年に宅建及び賃貸不動産経営管理士試験を受験し、合格しています。競売の経験は実務でも個人においてのもありません。
不動産競売流通協会のサイトには、宅建学習者であれば20~25時間程度で合格出来るとの記載があったので、この勉強時間で合格出来る可能性があるならと思い、宅建の知識が薄れない間に受験することにしました。
合格点と合格率
こちらのサイトを参考にすると、試験発足以来の合格点は30~35点、合格率は30.4%~42.3%の範囲内となっております。宅建の合格率が例年10%台ということを考えると、宅建よりは優しいが簡単な試験ではないという事が伺えます。
使用教材
実際に使用した教材について説明します。
競売不動産の基礎知識
公式テキストです。試験直前期には売り切れになっており、受験する場合は早めに購入した方が良いでしょう。
競売の知識を体系的に学習出来る良い書籍だと感じました。試験対策以外としても、実際に競売をやってみたい方にとっても非常に有益な書籍だと感じました。
競売不動産取扱主任者演習問題集
全150問掲載の演習問題集です。あくまでも過去問ではなく問題集です。この書籍以外に本試験の問題集は存在せず、尚且つ新品だと公式サイト以外からは購入出来ないと思われるのでこちらも早めに購入したいところです。
私の勉強方法
実際に私が行った勉強方法を説明していきます。
1️⃣ テキストを読む
2️⃣ 問題集を解く
3️⃣ 1️⃣→2️⃣の繰り返し
4️⃣ 並行してYouTube動画や981.jpをチェック
1️⃣ テキストを読む
まずはテキストを読み進めました。競売の知識は全く無かったので非常に興味深く読み進められました。それでも分からない点が多かったので、1周目は分からない所があっても深入りすることなく全体像を掴むことを意識しました。民法など、競売に関する所以外は宅建とほぼ被っていた為、覚えていた事の確認程度にとどめ、軽く読み進めて行きました。
2️⃣ 問題集を解く
テキストを1周したら続いて問題集に取り組みました。問題集にはテキストの該当ページが記載されていたので、少しでも分からなかった点については逐一テキストに戻って確認していきました。
3️⃣ 1️⃣→2️⃣の繰り返し
問題集を1周解いたら再度テキストを最初から通しで終わりまで一通り読みました。1周目では理解出来なかった箇所も問題集を解く事で理解出来るようになっていきます。
そして問題集の2周目に入ります。この時点で全選択肢について完璧に理解出来たと思えた問題については以降はやらないようにチェックを付けました。
上記を繰り返し行いますが、テキストはある程度理解出来た所で通し読みは終了し、問題集に集中しました。
最終的にテキストは4周通し読みを行い、問題集は問題によって2周~10周以上解きました。
4️⃣ 並行してYouTube動画や981.jpをチェック
YouTube
テキストと問題集のみの学習だとなかなか理解し辛い点があります。そこで役に立ったのがYouTube動画です。
こちらの動画はいわゆる3点セットについて具体的な資料を見ながら分かりやすく説明されており、理解の促進に繋がりました。
また、まず最初に見る動画としてはこの動画も良いと思います。
また、こちらの実際に競売不動産取扱主任者試験を受験されて合格された方の試験紹介動画も参考になりました。
981.jp
競売物件が検索出来るサイトです。実際に私も無料会員登録をして、実際に物件の概要や3点セットを見てみました。
実際に売りに出されている資料を見る事でよりイメージが湧き、試験対策にも繋がるので登録してみることをお勧めします。
試験対策講座
試験直前対策講座を受講した方から、講座内で説明された内容からかなり出題されるとの声もあります。受講料が19,800円と高額なので、どうしても一発で合格したい方は受講されると良いかもしれません。
私は受講料を考えると受講しませんでした。
勉強時間
勉強期間は9月から徐々に開始していましたので約3か月
勉強時間としては本試験を除き27時間27分となりました(YouTube視聴時間は含めていません)。
内訳はテキスト9時間41分、問題集17時間46分です。ここから分かるように、私の場合は問題集だけやってもテキストだけやっても合格出来なかったと思います。両方の教材をバランス良く取り組む事が大事ですね。
試験当日
試験会場は横浜駅近くの駅のビルの一室でした。受験者に割り当てられた席は80席弱。空席はチラホラありましたが8~9割方埋まっている印象でした。
試験は2時間で問題数は50問。かなり時間が余るだろうと思っていたので、複雑な問題はじっくり悩み、時間を使いました。
実際に50問全問解き終わったのが試験開始後85分程経った時点でした。残りの35分を見直しとマークシートの確認に費やし、試験は終了しました。
問題集と全く同じ内容の問題はまず無かった印象だったのでかなり苦労しました。どの問題も問題集を理解している事は前提としてやや捻っている問題が多かった印象です。
出題問題
本試験問題は持ち帰れず、かつ過去問題も公表されていません。私が受験した令和5年度本試験問題を覚えている範囲で以下に記して行きたいと思います。
問題の内訳
問題は全50問で、全て4肢択一となっています。50問の内訳は、競売に関する問題が前半37問、民法その他が後半13問に分かれていました。
また、問題の形式は以下の通りでした
・正しいものを選ぶ→17問
・誤っているものを選ぶ→22問
・個数問題→6問
・穴埋め組み合わせ問題→3問
・選択肢組み合わせ問題→1問
・並び替え問題→1問
出題問題
本試験で出題された内容及びそのポイントを覚えている範囲で以下に書き出します。
・評価書の記載事項
・抵当権の譲渡、放棄、順位の譲渡、順位の放棄の計算問題
・消除主義と引受主義の語句の意味
・入札期間は「1」週間以上「1」か月以内で開札期日は入札期間満了日から「1」週間以内
・保証額は「売却基準額」の10分の2
・競り売りを3回実施させても売却の見込みが無いときは強制競売を停止可能
・売却許可決定前なら売却不許可。売却決定後なら売却許可決定の取消。
・特定承継人は申立人になれない
・売却のための保全処分は差押債権者。担保不動産競売の開始決定前の保全処分は担保権実行社が申立可能
・差押えの登記が開始決定の送達前にされた場合は登記された時に生じる
・競売開始決定後の倒産手続きの流れ
・債権の届け出自体は事項の完成猶予事由に該当しない
・期間入札の申し出書の記載事項
・少額訴訟
・ADR
・宅建業法
・区分所有法
・不動産登記法
・防火地域と準防火地域の建築物の技術的基準(地階を含めるか含めないか)
・買受適格証明書が必要なケース
・宅建業法と消費者契約法が被った場合はどちらが優先するか
・登録免許税と不動産取得税は軽減税率が適用されるか
結果
合格発表日当日に簡易書留で合格証が届きました。
以下のページから、令和5年度試験の受験者総数は1,336名、合格者は459名、合格率は34.4%、合格得点は33点だったことが分かります。
合格者も不合格者も点数が分からないのがモヤモヤしますが合格は合格です。
なお、不合格者には合格までの不足点数の目安を記載したハガキが届くとのことです。
今後、登録すると主任者証カードが交付され、競売不動産取扱主任者を名乗れるとのことですが、実務で使用する予定が無いのと費用が高額なので今のところ登録の予定はありません。
宅建学習者なら20~25時間で合格出来るか?
20~25時間程度の勉強時間で合格出来ると思います。
実際私は宅建受験から1年以上経過していたということもあり、不動産知識も多少薄れている状態で27時間で合格出来たので宅建試験直後から学習を開始すれば充分この時間内で合格点に届く事も可能だと思います。
ただしギリギリの合格だった可能性も充分あるので、余裕を持って合格を狙うなら40時間程度は必要だと思います。
おわりに
競売の知識を体系的に短時間で学べる良い試験でした。競売にも興味が出てきて、実際に行ってみたいと思わせてくれる内容でした。
難点としては試験問題が公表されていないことと、合格者も不合格者も点数が分からないことでしょうか。この辺りをオープンにすればもっと受験者が増えると思うのですが。
この記事を参考にして受験される方がいらっしゃれば嬉しいです。ここまでお読み頂いてありがとうございました。
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