公務員の退職金って、実際どれくらい?
「公務員の退職金って、けっこうもらえるんでしょ?」
なんとなくそう思っている方、多いと思います。
でも実際の金額や計算方法は、案外知られていません。
この記事では、元地方公務員で実態に退職金を貰った私が、
「退職金がどうやって計算されるのか」「どんな点に注意すべきか」
などを、できるだけわかりやすくお伝えします。
公務員を辞めようか迷っている方、退職金の仕組みが気になる方に向けて、
自分の経験を交えながら解説していきます!
退職金の基本式はこれ!
まず、公務員の退職金は以下のような式で決まります。
退職金 = 給料月額 × 支給率 + 調整額
給料月額ってなに?
「給料月額」は、退職時の基本給をもとに算出される金額です。
一般的には、給料表に基づく「給料の月額」のことで、一般的には地域手当や扶養手当などの各種手当は含まれません。
※国家公務員は「国家公務員退職手当法」で計算方法が定められていますが、地方公務員は各自治体が独自の条例で運用しているため、支給率や調整額など細かなルールは自治体ごとに異なるのが一般的です。
支給率ってなに?
退職金の「本体部分」にあたるのが「給料月額 × 支給率」の部分。
この「支給率」は、勤続年数が長くなるほど上がっていくものです。
勤続年数 | 支給率 |
---|---|
5年(自己都合) | 約 2.5 〜 3.5 |
10年(自己都合) | 約 7.0 〜 10.0 |
20年(自己都合) | 約 20.0 〜 25.0 |
30年(自己都合) | 約 34.0 〜 36.0 |
40年(定年) | 約 45.0 〜 50.0 |
※本表はあくまで「国家公務員の法定支給率」を基にした目安であり、地方公務員については各自治体の条例によって支給率・調整額のルールや上限が異なるのが一般的です。実際の数値はご自身の自治体の制度をご確認ください。
私の場合、勤続10年台で退職したので、仮に給料月額を30万円、支給率を10.0とすると、
給料月額30万円 × 支給率10.0 = 300万円
となります。
調整額ってなに?
さらに、ここに「調整額」というものが加算されます。
「調整額」とは、退職金の基本額に加算される“功績加算”の一時金です。
国家公務員の場合、自己都合で勤続9年以下は支給されず、10〜24年は半額、25年以上は全額が支給されるというルールになっています。
一方、地方公務員では、勤続10年以下でも一定割合が加算されるケースもあり、具体的な算定ルールや支給額は自治体ごとの条例で定められていますので、詳細については各自治体にご確認ください。
私の場合のざっくり計算
実際に私の退職金をざっくりと計算してみます。
私(勤続10年台、自己都合退職、給料月額30万円、支給率10、調整額30万円と仮定)のケースでは…
【退職金】= 30万円 × 10(支給率)+ 30万円(調整額)
⇒ 合計 約330万円
あくまでも仮の数値ではありますが、大体このくらいの額が支給される計算となります。
ちなみに、令和5年度の国家公務員の退職手当の支給状況(内閣官房)によると、
常勤職員で勤続年数10~14年、自己都合退職者の平均退職金支給額は「281万2千円」となっています。
また、勤続40年以上の定年退職者の平均退職金支給額は「2,311万6千円」となっています。
退職金の注意ポイント
1. 勤続年数は「端数処理」に注意!
退職金の計算に使われる勤続年数は、「1年未満の端数」が切り捨て・切り上げされる場合があります。
多くの自治体では、
- 6か月未満 ⇒ 切り捨て
- 6か月以上 ⇒ 1年に切り上げ
とされています。
つまり、退職時期が1か月違うだけで、支給率が丸1年分変わることも!
退職前には自身の勤続年数を人事に確認しておきましょう。
私も実際、退職前に自身の勤続年数及び退職金の見込金額を確認しました。
2. 定年退職か自己都合かで支給率が大きく変わる!
もうひとつ重要なのが「退職理由」です。
- 定年退職:支給率が高くなる
- 自己都合退職:支給率は低くなる
例えば、同じ勤続40年でも、
定年退職と自己都合退職では支給率が異なるため、退職金が変わってきます。
3. 退職金にも税金がかかる?「退職所得控除」に注意!
「退職金って、税金でガッツリ引かれるんじゃ…?」と不安になる方もいるかもしれません。
でも実は、「退職所得控除」という制度のおかげで、一定の金額までは非課税になります。
たとえば…
- 勤続年数が20年以下なら「40万円 × 勤続年数」が退職金から差し引かれる
- 控除額以下の退職金であれば、所得税はかかりません
さらに、課税対象になる場合も、退職金は「半分の金額(1/2課税)」として計算されるため、実質的な税率はかなり優遇されています。
ちなみに私の場合も、退職金額は退職所得控除の範囲内だったため、税金は一切かからず、そのまま全額を受け取ることができました。
このように、仕組みを知っておくことで「退職金=課税されて目減りする」という思い込みを解消できます。
退職前に、ざっくりでも「どれくらい控除されるのか」を調べておくのがおすすめです。
まとめ:退職金のおかげで、私は心に余裕を持って次に進めました
「退職金って思ったよりもらえるんだ」
「この金額があれば、次のステップにも安心して進めそう」
そんなふうに思っていただけたらうれしいです。
私自身、この退職金を元手に現在はフリーランスとして活動中です。
ある程度まとまった金額が確保されている安心感が、独立への後押しになりました。
最後に
退職金は自治体によって支給率や調整額の考え方が異なります。
あくまでもこの記事は一例として、参考にしていただければ幸いです。
退職を検討中の方は、ご自身の自治体の規定や人事担当への確認を忘れずに!
※この記事はあくまで私個人の体験をもとにした一例です。
退職金制度は自治体や退職理由によって大きく異なるため、ご自身のケースは必ず人事課等に確認をお願いします。

コメント