本記事ではFP1級のFP協会で実施されている実技試験について、合格者である私が実際に行った勉強法について記して行きます。
この記事を読むと以下の事が分かります
前提知識
令和5年1月22日に実施されたFP1級学科試験に合格し、実技試験の受験資格を得た為、同年9月10日に実施されたFP協会実施の1級FP技能検定試験を受験することとなりました。なお、同年の8月に社労士試験を受験し、不合格となっています。
試験概要
ここでは簡単にFP1級実技試験(FP協会)の概要について触れたいと思います。なお、詳細の要綱についてはFP協会の公式ホームページをご覧下さい。
試験日程
年に1回、例年9月に実施されており、2023年度は9月10日に行われました。
試験時間は13:30~15:30の2時間です。
出題形式
全て記述式となります。その中に択一式や語群選択、空欄記入、論述が含まれています。大問で2題出題され、100点満点中60点以上で合格となります。
受験資格
以下のいずれかに該当する者でなければ本試験を受験することが出来ません。ちなみに私は3)のきんざいの1級FP学科試験合格者で受験資格を得ることが出来ました。恐らく大部分の方がこれに当てはまると思われます。
1)日本FP協会認定のCFP®認定者
https://www.jafp.or.jp/exam/outline/1fp/
※退会などでCFP®認定者の資格が失効した場合、受検資格はなくなります。
2)日本FP協会のCFP®資格審査試験の全ての課目に合格したが認定されていない者
・受検資格は全6課目合格となった試験の合格日の翌々年度末まで有効です。
※2020年度第2回までのCFP®資格審査試験全6課目合格者でCFP®認定されていない方は、有効期限切れのため、受検資格はありません。
3)金融財政事情研究会実施の1級FP技能検定 学科試験の一部合格者
・受検資格は当該合格した試験日の翌々年度末まで有効です。
4)1級FP技能検定合格者
5)金融財政事情研究会実施の普通職業訓練短期課程金融実務科FP養成コースを修了した者で1年以上の実務経験を有する者
使用教材
ここでは実際に私が使用した教材について記載していきます。
問題集
1級FP技能検定実技試験(資産設計提案業務) 精選過去問題集
合格するためには間違いなく購入するべき書籍でしょう。科目別に問題が掲載されております。また、最新年度で出題された過去問も模試演習として掲載されています。
Webサイト
1級FP過去問解説
2011年以降の全ての問題解答及び解説が掲載されています。問題集でも充分だとは思いますが、より多くの問題に触れたい方や、問題集の解説では理解出来なかった方にとっては、とてもオススメ出来るサイトです。
FP1級シケタイ委員会
論述問題について詳細に記載されているブログになります。過去問ではまだ出題されていない重要論点についてもまとめられているので、非常に参考になりました。
勉強方法
私が実際に行った勉強方法を簡潔にまとめると以下の通りになります。
・直近の過去問を解いてみる
・問題集の問題を全て一通り解く
・間違った問題、正解したが自信が無かった問題について繰り返し解く
・論述問題対策を行う
以下で詳しく見ていきます。
直近の過去問を解いてみる
まず最初に問題集に掲載されていた最新年度の問題を解いて見ることから始めました。勿論最初から簡単に合格点に手が届く感じではありませんでした。それで間違えた問題が多かったとしても、ここでは試験の全体像を掴む事が目的です。まずは分からなくても全て解いてみて、どんな問題がどういった形式で出題されるかを理解することが重要です。
問題集の問題を全て一通り解く
続いて問題集を最初から順番に全て解きます。FP1級学科試験もしくはCFP試験を突破してきてる方が殆どだと思うので、問題の難易度自体はそれほど難しく感じないと思います。ただ、私の場合は学科試験に合格後、半年程期間が空いて居たということもあり、忘れていた点もかなり多かったです。ただし受験直前まで社労士試験の学習をしていたため、年金社会保険科目に関してはほとんどの問題を解けていました。まずは一周することで自分には何の知識が足りていないかを掴む事が重要です。
間違った問題、正解したが自信が無かった問題を繰り返し解く
全ての問題について一周を終えた後は、間違えた問題、かつ正解したけれど自信が無かったような問題について予めチェックをしておき、二周目はこれらの問題に限って行いました。これを三周目、四周目と継続して行い、最終的には全ての問題について理解した状態を目指しました。
論述問題対策を行う
実技試験の最大の難所がこの論述問題対策だと思います。配点は公表されてはいませんが、この論述問題の配点は20点と言われています。そのため、疎かにすることは出来ず、しっかりとした対策を行うことが合格への近道となります。私の場合はただ闇雲に論述対策をしても時間が掛かってしまうと考え、以下の手順を踏むようにしました。
前提として、出題テーマに関しては問題集を含め、前述の1級FP過去問解説に掲載されていた2011年以降に出題された全ての問題について対策しました。また、過去に出題されていない論点についても出題可能性が無い訳では無いと考え、「犯罪収益移転防止法」、「金融サービス仲介業」、「弁護士法」について解答例を考えた上、以下のように対策を行いました。
1️⃣まず解いてみる
まずは問題を読んで、そこからどんな解答が導けるのかを考えてみます。勿論最初なので単語だけだったり、何も思い浮かばない事もあると思いますが、解いてみる事が大事です。
2️⃣解説を読んでみる
解いた結果、分からなければすぐに解説を読みます。解説を読んで書かれている事は分かっても、自分に書けるのかと思ってしまいそうですが、まずは解説で書かれている事を理解することに努めました。
最初の段階では1️⃣と2️⃣を繰り返していました。ただこれだけでは書けるようにはならないと考え、以下の段階に移行しました。
3️⃣穴埋め問題を作り解いてみる
解答文から一部を穴埋めとし、それを問題として解くようにしていました。例えば保険業法において保険募集に際しての禁止行為がいくつか挙げられていますが、その禁止行為のみを穴埋めにして、穴埋めのみを埋める問題として解くようにしました。こうすることでまずは単語レベルで暗記するようにします。
4️⃣問題から解答を作成してみる
穴埋め問題で単語としてある程度覚える事が出来るようになった後は、実際に問題文から解答そのものを作成する段階に移行します。単語だけ覚えても、実際に文章として書けるようになるのはまた別の難しさがあります。ここでも何回も解答作成を繰り返す事で文章として書けるようになりました。
5️⃣文字数を意識した上で解答を作成してみる
本試験では論述問題については300字程度で書くように指示があります。ただ冗長に文章を書いても文字数制限以内に収めないと高得点は難しいでしょう。指定文字数を意識した上で書けるように何度も解答を作成していました。
試験結果と配点予想
試験結果
結果は63点でなんとか合格することが出来ました。論述の配点次第で、落ちている可能性も充分にあると思っていたので、合格することが出来て本当に嬉しかったです。択一問題は1問4点の可能性が大きいので、ここで1問余計に間違えていたら不合格となる所でした。本当に薄氷を踏むような合格となりました。
合格証書も一緒に届きました。二級までとは違い、A3サイズの証書となっているので、非常に大きいです。A3用のファイルに格納してあります。いずれは額縁にして飾るのも良いですね。
配点予想
【第1問】
問1 4点
問2アイウ 各3点(語群選択)
問3 4点
問4 4点
問5 3点
問6 4点
問7 4点
問8アイウエ 各1点(◯☓)
問9 4点
問10 4点
【第2問】
問11 4点
問12アイウエ 各1点(語群選択)
問13 4点
問14 4点
問15アイウエ 各1点(語群選択)
問16 4点
問17アイウエ 各1点(◯☓)
問18 4点
問19 4点
問20 20点(論述)
勝手に令和5年度本試験の配点予想をしてみました。配点は公表されているものではなく、あくまで私個人の予想であること、必ずしも正確なものでは無いことにつき、ご了承ください。
点数の横の()は問題の種類です。記載がないものは択一問題です。
択一は基本4点、問5のみ易問と判断し3点。語群選択及び◯☓問題は基本各1点。問2のみ解答が3つだったため各3点としています。
この配点を基にすると、私の論述問題の採点は17点だったことになります。論述で高得点だったことでギリギリの合格を拾えた結果になります。
勉強時間
試験までに費やした勉強時間は約33時間となります。
内訳は
1級FP精選過去問題集:20時間
論述対策:12時間
その他テキスト等:1時間
上記の通り、論述対策だけでかなりの時間を使いました。過去問題集の20時間の中にも論述に費やした時間があるので、ほぼ全体の勉強時間の半分近くは論述対策に使っていた事となります。勿論、論述以外の部分が学習の基本となるのでそちらを理解している事が大前提ですが、あと一歩で合格出来るかどうかという所で、論述の対策をしっかりとしているかどうかで合否が分かれていたという事実を身を持って体感しました。
おわりに
これで晴れて1級ファイナンシャル・プランナーを名乗る事が出来るようになりました。これまで、FP1級までの道程はとても長く険しいものでした。その分の達成感は素晴らしいものがあります。
FP1級を目指されている方のために、本記事が何か少しでも参考になれたら嬉しいです。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。
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