DCプランナー1級の概要
確定拠出年金やその他の年金制度全般、および金融商品、投資等に関する専門的な知識を有し、企業に対しては現行退職給付制度の特徴と問題点を把握のうえ、確定拠出年金を基軸とした適切な施策を構築でき、また、加入者等の個人に対しては確定拠出年金の加入者教育の実施および老後を見据えた資産形成およびその前提となる生活設計の提案ができるレベル。
DCプランナー 1級 | 商工会議所の検定試験
以前受験して合格したDCプランナー2級の記事はこちら
受験資格
DCプランナー2級合格者が受験資格となります。受験申込の際に合格番号が必要になりますので予め確認しておきましょう。
試験種目
A分野:年金・退職給付制度等
B分野:確定拠出年金制度
C分野:老後資産形成マネジメント
上記3分野に分かれています。それぞれ別々に受験する必要があり、全ての分野に合格してはじめてDCプランナー1級合格者となります。
試験時間
各90分
試験方式はCBT方式となっております。ご自身の都合の良い日時で受験予約をしましょう。
出題形式
四答択一式各10問、総合問題各4題
配点は公表されていませんが、おそらく択一10問×各4点 総合問題4問×各15点だと思われます。
合格基準
100点満点で各70点以上※3つの試験全てに合格した時点で合格とする
各分野毎に受験出来ます。日程があえば1日で3分野を受験することも可能だと思われます。
試験範囲
A分野 | ①公的年金 ②企業年金と個人年金 ③退職給付制度 ④中高齢期における社会保険 ⑤年金・退職給付制度等の最新の動向 |
B分野 | ①確定拠出年金の仕組み ②企業型年金の導入および運営 ③個人型年金に係る手続等 ④コンプライアンス ⑤確定拠出年金制度の最新の動向 |
C分野 | ①金融商品の仕組みと特徴 ②資産運用の基礎知識・理論 ③運用状況の把握と対応策 ④確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計 ⑤老後資産形成マネジメントの最新の動向 |
登録制度
試験に合格をすれば「合格者」となることは可能ですが、「DCプランナー」という名称を使用するには資格の登録が必要です。
教材
以下では私が実際に使用した教材を紹介していきます。
テキスト・問題集
2023年度版 DCプランナー実務必携
唯一の公式テキストになるので購入は必須と言えます。
2023年度版 DCプランナー1級試験問題集
きんざい出版の問題集です。こちらも購入は必須と言えるでしょう。
DCプランナー1級合格対策問題集(2023年度版)
前述のきんざい出版の問題集とは別団体である年金問題研究会が出版されている問題集です。問題だけではなく法改正論点や必須知識の一部のテーマ別解説が掲載されており、テキストの補充という形でも利用することが出来ます。また、本試験と同じ形式の模試も掲載されているため、試験形式に慣れるという意味でも購入したい問題集です。
資産運用のパフォーマンス測定
公式のテキスト類ではありませんが、C分野の試験対策として使用しているという声が多かったので購入しました。演習問題も多く、オススメ出来ます。
分野別試験対策
分野別に自分が実際に行った対策を紹介します。
A分野
~勉強法~
1️⃣ テキストを読み込む
2️⃣ 問題集を解く。間違えた問題は理解して正解出来るまで繰り返す
3️⃣ 1️⃣と2️⃣を繰り返す
問題集を解くのは大前提として、テキスト読みも重要になってきます。問題集には記載は無いがテキストのみに記載されている知識についても細かい点が問われると感じました。総合問題については個数問題が大きなウエイトを占めます。より正確な知識が求められますのでテキスト読みを疎かにしてはいけません。
退職給付会計について
A分野でネックになってくる論点が退職給付会計です。馴染みがない分野であり、テキストだけではなかなか理解が難しく感じました。そこでYouTubeで退職給付会計について解説されている動画を見つけ、おかげで理解が深まりました。
B分野
~勉強法~
1️⃣ テキストを読み込む
2️⃣ 問題集を解く。間違えた問題は理解して正解出来るまで繰り返す
3️⃣ 1️⃣と2️⃣を繰り返す
4️⃣ 厚生労働省のサイトを読む
A分野以上にテキストの読み込みが重要となる分野だと感じます。各分野共通して問題集の問題を解けるようになることは大前提で、繰り返しになりますがテキスト読みを疎かにしてはいけません。
また、私が受験した3回中、会計処理の知識及び特別損益額を求める計算問題は毎回出題されていたので、ここは必ず出ると仮定し、特別損益額を確実に導けるようにしておきたいところです。
厚生労働省資料
ここでは厚生労働省のサイト内で参考になった資料を紹介します。
「確定拠出年金制度における事務の流れ」
https://www.mhlw.go.jp/content/000988781.pdf
テキストにも事務の流れの図はありますが、こちらの方がフルカラーであり尚且つ見やすく、イメージがし易く感じました。この図を逐一確認することで事務の流れを完全に理解するようにしました。
「確定拠出年金Q&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/000653917.pdf
長い資料ですが要所要所で眺めてみるだけで理解が深まると思います。
「確定拠出年金の拠出限度額」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/taishousha.html
拠出限度額も重要な論点です。イメージで理解するように努めましょう。
「確定拠出年金制度について(法令解釈通知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000677933.pdf
「確定拠出年金の企業型年金に係る規約の承認基準等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000653916.pdf
上記も参考になり、繰り返し読み込みました。
C分野
~勉強法~
1️⃣ テキストを読み込む(軽くで良い)
2️⃣ 問題集を解く。間違えた問題は理解して正解出来るまで繰り返す
→不明点はFP1級のテキストやYouTube等で確認しながら解く
3️⃣ 資産運用のパフォーマンス測定を読む(5章中心に)
4️⃣ FP1級(2級)ドットコムの金融資産運用の問題を解く
5️⃣ 本試験での出題傾向を掴む
問題集に掲載されている問題を解けるようになるのは大前提です。一方でA,B分野はテキスト読み込みが非常に重要ですが、C分野はそこまでではありません。かといって全く読まないのではなく、一通り目は通しておきましょう。
問題を解いていると、なぜこのような計算になるのか、丸暗記してしまえば良いというのはそれまでですが、問題集と全く同じ問題は殆ど無い印象なので、理解して解けるようにならないと本試験でも解けるようにはなりません。私はFP1級合格済で、当時のテキストがまだあったので、そのテキストの該当箇所を読む事で理解することが出来た論点が多かったです。
YouTube動画の紹介
また、YouTube動画でこの分野について詳細に解説されている動画もあるのでそれらを活用して理解することに努めました。参考までに「ほんださん / 東大式FPチャンネル」さんの「共分散と相関係数」の動画を貼り付けます。
これ以外にも「シャープレシオとインフォメーションレシオ」「CAPMとβ」「ジェンセンのアルファとトレイナーレシオ」「デュレーション」についてそれぞれ解説されている動画があり、FP1級受験時も使用させて頂きましたが、DCプランナーにおいても非常に有益でした。
また、「たかぴーの中小企業診断士試験 攻略チャンネル」さんの動画もいくつか参考にさせて頂きました。「CAPM」「効率的フロンティア」の動画が為になりました。
本試験解析
本試験で出題される問題が分からない事には点数が伸びません。勿論問題集に掲載されている問題を理解していれば解ける問題は多いですが、私の経験上、本試験の問題を知らないと解けない問題が多くありました。そこで本試験で実際にどのような問題が出題されるかを知る事は非常に重要です。
https://note.com/lovely_hontan2/n/nb2856eee67ac
https://note.com/lovely_hontan2/n/n59dae6e407fc
こちらのほんたんさんのnoteはC分野で具体的にどのような問題が出題されるかどうかが記載されております。ここからそのまま出題された問題もあり、非常に参考にさせて頂きました。
それでもC分野を初めて受験した際は初見の問題も多く、対応出来ずに間違えてしまった問題ばかりだった反省から、記憶を頼りに本試験問題を再現し、解答を導けるように考察しました。その結果2回目では1回目とかなり被った問題が多く出て、なんとか合格点に届く事が出来ました。
以下で記しております受験記録の記事では実際に出題された問題を覚えている範囲で紹介しておりますので参考にして下さい。
受験記録
受験回毎に記事にしています。それぞれの受験回で実際に出題された問題についても紹介しています。
A分野
B分野
C分野
勉強時間
A分野 | B分野 | C分野 | 計 | |
勉強時間 | 14時間32分 | 30時間48分 | 37時間51分 | 83時間11分 |
試験時間 | 1時間50分 | 2時間20分 | 2時間55分 | 7時間05分 |
計 | 16時間22分 | 33時間08分 | 40時間46分 | 90時間16分 |
勉強時間はA分野<B分野<C分野となりました。個人的な感覚としては難易度もこの順番の通りです。過去問題集から同じ問題が出る頻度が極端に少なく、またCBT方式である以上問題を持ち帰れず復習がし辛いというのがこの試験を難しくしている要因となっています。
これでもFP1級と社労士を勉強していた分、合格までの時間短縮が出来ていると思いますが、
知識が0の状態でDCプランナー2級から学習を開始して1級に合格するまでの時間を考えると、200時間前後は必要であると感じました。
終わりに
現状実務で使用する予定はありませんが、学習していてとても楽しい資格でした。ただ過去問が無いのと本試験では問題集とは違う傾向の問題が多く出題されるので勉強方法はかなり試行錯誤せざるを得ませんでした。
資格登録をする予定ですので、引き続きDC分野に関する知識はブラッシュアップし続けて行きたいと考えています。そして今後はこの資格で得た知識を活かして社労士試験のリベンジに向かいます。
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